本日は『レイヤリングの基本』についてご紹介します。
レイヤリングとは…
登山において『重ね着』を意味します。
着ると暑いし、脱ぐと寒い。
そんなことにならないように『層(レイヤー)』を分けて体温調節します。
レイヤーの主な種類は以下の4つ。
肌面に近い方から
①:ドライ系アンダーウェア
②:ベースレイヤー
③:ミッドレイヤー
④:アウタージャケット
という順番での重ね着が基本となります。
今回は①をご紹介、②~④はまた後日UPいたします。
この4つのうち一番新しいジャンルが、今回メインでご紹介する『①:ドライ系アンダーウェア』です。
以前(昔)は①を除く、②~④での重ね着が推奨されていましたが、現在は①~④での重ね着が基本です。
それぞれの役割(特徴)をすごーーーく簡単に説明しておきます。
①:ドライ系アンダーウェア
→汗冷え対策(撥水性、疎水性)
②:ベースレイヤー
→汗冷え対策(吸汗速乾、保温性)
③:ミッドレイヤー
→防寒、防風対策(保温性、防風性、通気性)
④:アウタージャケット
→防水、防風対策(防水性、防風性)
そのような役割を踏まえた上で、本題の『①ドライ系アンダーウェア』です
レイヤリングの基本
【ドライ系アンダーウェア編】
1.汗冷えについて
■汗冷えとは
■汗冷えの何が悪いのか
2.ファイントラックのドライレイヤー®
3.ミレーのドライナミックメッシュ
4.注意点とその違いについて
5.まとめ
1.汗冷えについて
ドライ系アンダーウェアに求められる役割としてあるが『汗冷え対策』です。
そもそも汗冷えってなに?汗冷えの何が悪いの?
■汗冷えとは・・・
水分(汗)は、空気に比べ熱伝導率が高くなっており、熱は温度が高い方から低い方へと移動します。
つまり、汗で濡れることによって体温が奪われてしまうのです。
また、濡れた衣服は乾く時に、気化熱として体温を奪っていくため、これも体温低下につながります。
(引用:https://yamahack.com/2619#content_144919_0_0より)
平地より山の上の環境は厳しさを増します。
標高1,000m上がるごとに6℃気温が下がり、風速1mの風で体感気温が1℃下がります。冷えるスピードが桁違いに早くなります。
■汗冷えの何が悪いか・・・
汗冷えする → 体温を上げる →
体内のエネルギーを使う → 疲れる
答え:疲れる。さらに深刻になると低体温症の危険も。
汗冷えすると、体温を上げようと体が震えます。
体温を上げる際に使うのが、体内に貯蓄してあるエネルギーです。
体温を上げるのに余計なエネルギーを使うと、歩いたり走ったり運動する際のエネルギーが足りなくなります。
そのエネルギーがなくなるとハンガーノック(低血糖症)という状態になり、身体が動かなくなってしまいます。
つまり汗冷えを防ぐと、体温を一定に保つことができ、効率的にエネルギーを使う事ができます。
では、『ドライ系アンダーウェア』でどうやって汗冷えを防ぐのか。
2つのメーカーの商品を例に説明します。
2.ファイントラックのドライレイヤー®
最初は国産メーカーの【ファイントラック(finetrack)】の【ドライレイヤー®】です。
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ドライレイヤー®をアップにすると、小さな孔が空いているのが分かります。
この孔から表面張力を利用して汗を吸い上げます。毛細管現象といいます。
吸い上げた汗を、ドライレイヤー®の上に着ている吸汗速乾ウェア(②ベースレイヤー)に吸わせます。
そうすると体の表面から汗が取り除かれ、肌面は乾いた状態になります。
ん?吸汗速乾ウェアはまだ濡れているから、逆に小さな孔を通して再び体が濡れてしまうんじゃないの?
そうならないように、ドライレイヤー®の生地には撥水加工がしてあり吸汗速乾ウェアが濡れていても濡れ戻りを防ぎます。
この生地の上に水を垂らすと、水をしっかりと弾いてくれるのが分かります。
(引用:https://www.finetrack.com/products/l1-drylayer/より)
上の図のように汗が一方通行で出ていきます。
ドライレイヤー®の汗冷えを防ぐ(軽減する)特徴をまとめると
■小さな孔から汗を吸いあげ、上に着ている吸汗速乾ウェアに移行させる
■撥水加工が吸い上げた汗を肌面に戻さない(濡れ戻りを防ぐ)
この2つで汗冷えを防ぎます。
3.ミレーのドライナミックメッシュ
2番目はフランスのメーカー【MILLET(ミレー)の【ドライナミックメッシュ】
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ドライナミックメッシュをアップにした写真です。
メッシュが肌に密着することで汗を吸引します(毛細管現象)
吸い上げた汗を、ドライナミックメッシュの上に着ている吸汗速乾ウェア(②ベースレイヤー)に吸わせます。ここまでは前述のドライレイヤー®と一緒です。
(左:ドライナミックメッシュ、右:ドライレイヤー®)
汗を吸って濡れたベースレイヤーを、ドライナミックメッシュの「厚み」によって常に肌から離し汗冷えを防ぎます。
さらにドライナミックメッシュのメイン素材ポリプロピレンは、外気温に左右されにくく水分を保持しにくいので、肌に濡れ感が伝わりにくくなっています。
上の図のように汗が一方通行で出ていきます。
ドライナミックメッシュの汗冷えを防ぐ(軽減する)特徴をまとめると、
■メッシュから汗を吸いあげ、上に着ている吸汗速乾ウェアに移行させる
■「厚み」と「水分を保持しにくい素材」で汗と肌面を離す(濡れ戻りを防ぐ)
この2つで汗冷えを防ぎます。
4.注意点とその違いについて
ドライレイヤー®とドライナミックメッシュ、どちらも体にピタッと密着するようなサイズで着用してください。
着用したときに「シワ」があるとその部分の汗を吸い上げられません。
汗を効果的に吸い上げるには、ピタッとです。
ドライレイヤー®とドライナミックメッシュ、どちらも「汗冷えを防ぐ」という結果は同じですが、その過程には若干の違いがあります。実際に着用した時の汗冷えの感じ方も違いがあると思います。
私は季節や行く山によって、ドライレイヤー®とドライナミックメッシュを使い分けてます(個人的な見解を多く含んでいます)
■温暖な気候やスピードハイクやトレランのような活動量が多い場合は【ドライナミックメッシュ】
⇒汗が抜けるスピードが早い、蒸れにくい(こもりにくい?)
⇒フィット感が高くずれにくい
■寒い季節全般(冬山・雪山)、沢登り、ハイキングのような発汗量が多くない場合は【ドライレイヤー®】
⇒適度に汗が抜けてくれるので冷えにくい
⇒適度なフィット感でストレスがない
どちらが良いかは難しいです。どちらも良いのは間違いないです。
5.まとめ
ドライ系アンダーウェアが肌に密着して汗を吸い上げます。吸い上げた汗を上に着ているベースレイヤーに移行させます。
ベースレイヤーからの濡れ戻りを防ぐために、ドライレイヤー®の場合は「撥水」、ドライナミックメッシュの場合は「厚み」と「水分を保持しにくい素材」で、汗と肌面が触れないようにします。
汗冷えを防ぐと良いことだらけです。疲れにくくなり、効率よくエネルギーを使うことができます。
ドライ系アンダーウェアの重要性は分かりましたか?
最後に、注意していただきたいのがドライ系アンダーウェアの上に着る『ベースレイヤー』です。
これもすごい重要なレイヤーのひとつ。化学繊維系が基本ですが・・・
長くなりそうなので、詳しくは次回の「レイヤリングの基本【ベースレイヤー編】」でお会いしましょう!
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